2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ドストエフスキーの死刑反対論

ドストエフスキーの『白痴』を読み始めたら、主人公が唐突に死刑反対論を述べ始める場面がありました。その人物が死刑に反対する理由を簡単にまとめると、「例えば強盗に殺される人は、最後の瞬間まで『生きる希望』を持っているが、死刑の直前にその宣言を…

『永遠の夫』(ドストエフスキー)を読んで

内容・表現ともに、しつこすぎるぐらいしつこく、少しずつ読み進めることしかでしずに、結局1週間ぐらいかかりました。「もてない男は、常に女を横取りされる」という、身につまされるような内容ですが、もてない男自身が自らそうふるまってしまうようなフ…

悪夢の原因は、車の復讐?

以前勤めていた職場へある用事で行ったのですが、帰ろうとしたら自分の乗ってきたはずの車が無くなっていて、いくら探しても見つからない・・・という悪夢を見ました。そのような夢を見た原因を、私は次のように考えました。家族構成の変化を理由に、1年前に買…

『劉備と諸葛亮』(文春新書)を読み始めて

「三国志」にはあまり興味がなく、「めまい」のために読書は控える予定でしたが、読み始めてみると、興味深いことも書かれているので、一か所だけ抜粋しておきます。(以下、抜粋) 後漢時代には本籍地回避原則(出身地の州長官になれない原則)があり、徐州…

覚書 南京と漢口(ハンカオ)

既に返却した『近代日本の構造』に、南京と漢口について重要なことが書かれていたので、覚えていることを適当にまとめておきます。 ・南京事件における中国人側の犠牲者数は、0~40万と幅があり、今でも論争になっているが、数はともかく何らかの殺戮があっ…

幻の名曲『フレディもしくは三教街』(さだまさし)

「フレディ あなたと出会ったのは 漢口(ハンカオ)」というフレーズで始まり、西欧や日本から侵略された中国の都市を舞台とするという歴史的な題材を含んだ曲なのに、さだまさし特有の抒情性がたっぷり含まれていて、中学生の時からずっと好きでした。カラ…

あの頃のぼくは

40年ほど前、初めて自分で買ったアルバム『イルカライブ』。名曲「なごり雪」を聴く目的で買ったのですが、「なごり雪」よりも「あの頃のぼくは」という曲が好きになり、高校の修学旅行でもバスの中で歌いました。「君の長い髪はとても、すてきだったと言い…

言葉と行動で、救われた話です

今日は早朝6時から、近所を流れる河川の堤防を市民ぐるみで清掃する日でした。町内会長の私は、昨日協力のお願いに各班長さんの自宅を回ったのですが、ある班長さんの奥様が「私も協力させていただいて、いいんですね?」と言ってくださって、ビックリしま…

『黒蜥蜴』と『女王蜂』

江戸川乱歩の『黒蜥蜴』と横溝正史の『女王蜂』、両作品とも妖艶な女性を思わせるタイトルですが、作風は冒頭から対照的です。『黒蜥蜴』が新宿ゴールデン街(行ったことないですが)を思わせる大都会の妖しげなクリスマス・パーティーから始まるのに対して…

なるほど!ザ植物 『植物のひみつ』(中公新書)を読み始めて

「梅の花に来るウグイス色の鳥は、ウグイスではなく、メジロ」といったような、興味深い話題が満載です。4分の1ほど読み終えた段階で、最も興味深く感じたのは「タンポポの開花」です。その部分を抜粋しておきます。(以下、抜粋) ツボミが花開くときには…

『黒蜥蜴』(江戸川乱歩)について

妖しく美しい女賊の犯罪をたどる形で話が進められるので、「謎解き」のポイントは、明智小五郎がどうやって犯罪を阻止し、彼女を追い詰めるか、という点にあります。ただ、黒蜥蜴さんも明智君も変装を得意とし、やたらとその得意技を使うので、キツネとタヌ…

大正末期のある事件

大正15年、読売講堂で行われたパーティーの最中、ある女性が痴話喧嘩からピストルを発砲し、黒服の男性が血を流して倒れ、そこに白い制服の警官が駆け付けた。当然のことながら、場内は騒然となり、悲鳴をあげて逃げ出す女性もいた。 大変な事件のようですが…

昭和初期の探偵小説 『陰獣』

江戸川乱歩という作家。忘れられた過去の作家と思っていましたが、今年になって岩波書店から『江戸川乱歩作品集』(岩波文庫として全3巻)が発行されたので第2巻の『陰獣』を読んでみました。淫靡さを感じさせるタイトルで、確かにそういう部分もありますが…

理想の生き方 『日本史の内幕』(中公新書)

副題は「戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで」。磯田道史氏の著作を読むのは、これが3冊目です。「秀吉は秀頼の実父か」など、興味深い内容の話ばかりでしたが、私が一番感動したのは「中根東里(とうり)と司馬遼太郎」。無名の学者である中根東里は、…

ゆるキャラつながり 磯田道史とみうらじゅん

磯田道史氏が書いた『日本史の内幕』の中に、「ゆるキャラ」の歴史が書かれているのを読んで思い出したのが、「かぶり物・着ぐるみ」を「ゆるキャラ」と命名したのは、漫画家(?)のみうらじゅん氏だということ。みうら氏が書いた『「ない仕事」の作り方』…

『近代日本の構造』(講談社現代新書)を読んで

副題は「同盟と格差」。明治10年代後半から太平洋戦争までの日本の歴史を、外交と格差という観点から論じています。詳細まで理解できなかった箇所もありますが、印象に残ったことは、 ①バリバリの軍人だと思ってきた山県有朋が、「中国と仲良くする」「新興…

冷酷な動物愛好家 『禽獣』(川端康成)

1933(昭和8)年に発表された小説で、多くの鳥や犬を飼う独身の中年男性が主人公です。動物愛好家に見えますが、鳥でも犬でも自分の趣味に合わない物に対しては、無視したり見殺しにしたりする、冷酷な面もあります。鳥の名前や習性などにやたら詳しいので…

やっぱり出てきた百恵ちゃん 『伊豆の踊子』

昭和52年ごろに160円で買った新潮文庫の『伊豆の踊子』。カバーの折り返しの部分に、映画の写真があったこと、忘れていました。踊子の「薫」は14歳という設定で、温泉から全裸で飛び出して主人公の「私」に手を振る場面などがあり、映画も観たくなりました。…

湿疹バロメーター

他の人が見たら失神するのではないかと思われるぐらいひどかった私の湿疹。今朝起きたら、ほとんど治っていました。私の湿疹は、梅雨明けのバロメーターです。

放蕩息子に救われた話『大つごもり』(樋口一葉)

ケチな資産家に奉公する「お峯(みね)」。幼い時に両親を亡くした彼女を育ててくれた伯父が病気になり、伯父一家の生活の補助のため、奉公先から金を盗みます。ばれたら舌をかみ切って死のうとまで思っていたのですが、その家の放蕩息子が「この金、もらっ…

どこにでもいる怪物 『高学歴モンスター』(小学館新書)

副題は「一流大学卒の迷惑な人たち」で、今年の4月に発行された本です。軽い気持ちで借りたのですが、かなり深刻な事例が書かれていました。最も深刻だと思ったのは、法に抵触するような「汚れ仕事」を部下に押し付け、発覚したら実行した部下に責任転嫁をす…

玉の輿の悲劇 『十三夜』(樋口一葉)

貧しい家の娘「お関」が、金持ちの男から猛烈な求婚を受けて嫁に行ったのですが、半年で飽きられてしまい、その後は女中の前で馬鹿にされるなど、夫からひどい仕打ちを受けるようになります。夫は数日間帰宅しないこともあり、離婚して当然の状況ですが、「…

事件は庭で起きた!「踊る大双叉(そうしゃ)根」

土を深くまで耕さなかったために、大根が途中から二股に分かれてしまいました。このような状態を「またね」というそうで、タイトルの「双叉」は、「またね」を私が勝手に熟語で表したものです。それでは、またね

「意味のある偶然」シンクロニシティーについて

ユングが提唱したシンクロニシティーという概念。「意味のある偶然」という意味らしいです。ちなみに私の自宅、S市のN木材さんと2カ月近く相談し、本日からリフォームの工事が始まったのですが、まさしく本日、梅雨が明けて絶妙のタイミングでした。豪雨で…

SNSの怖さ。『デジタル・ポピュリズム』(集英社新書)を読んで

副題は「操作される世論と民主主義」で、今年の5月に発行された本です。なかなか「怖い」内容でした。怖いと思った点をまとめてみると、 ・フェイスブックを中心としたソーシャルメディアが、使用者の詳細なデータを集め、それがビッグデータとして利用され…

『フロイトとユング』(講談社学術文庫)を読んで

学問的な部分は「斜め読み」したのですが、治療者が大変だということを痛感しました。特に印象に残ったのは、「ドラの例」と言われているフロイトの症例。(以下、適当にまとめます。) 17歳の少女ドラが、年上の男から誘惑され、ヒステリーになった。彼女の…

『フロイトとユング』(講談社学術文庫)を半分ほど読んで

小此木啓吾氏と河合隼雄氏の対談という形式の本ですが、専門用語が多く、私のような素人が理解するのは困難です。ただ、なるほどと思った河合氏の発言から1か所だけ私なりにまとめておきます。 患者の治療において、ユングとアドラーが強調するのは、現在の…

明治の貧困『にごりえ』(樋口一葉)

その日食べる米もないほどの貧困から遊女になった「お力」。彼女に入れあげて家族ともども極貧になった「源七」。いわゆる貧困の再生産が描かれていて、救いのない作品です。無理心中で作品を終わらせるのは、近松の影響かな、と思いました。一葉の実体験を…

門左衛門とヤッターマン

近松門左衛門が71歳の時に書き、絶筆となった『関八州繋馬(かんはっしゅうつなぎうま)』。舞台で演じられることを意識しすぎたのか、内容としてはハチャメチャです。特に最後の場面で朝廷側の武士たちが、女郎蜘蛛の化け物と戦う場面はほとんど怪獣映画。…

私を癒やしつつ、出会いもくれた『歌姫』

20歳のころ、失恋してから毎晩聴いていた中島みゆきの『歌姫』。 「握りこぶしの中に あるよに見せた夢を もう2年 もう10年 忘れ捨てるまで」 という部分に癒やしを求めましたが、それからもう30年もたってしまいました。 ただ、今の配偶者が短大で音楽関係…