2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

どうして首に首ったけ? 『百面相役者』(江戸川乱歩)

昔、お寺の縁日に怪しげな小屋が建てられ、「蛇女」とかの出し物(?)があったような、かすかな記憶がありますが、入ったことはありません。乱歩さんのこの小説は、そのような芝居小屋で百面相を演じている役者が、実は「首泥棒」だった?という、とんでも…

女人地獄使? 『二人の稚児』(谷崎潤一郎)

生後すぐに比叡山延暦寺に預けられ、女性を知らずに育った二人の稚児が、思春期になって、女性へのあこがれに悩まされるという内容です。谷崎さんの「王朝物」の先駆けとなった作品らしいのですが、女性に対する谷崎さんのアンビバレントな思いが表現されて…

100年前のサイコパス? 『異端者の悲しみ』(谷崎潤一郎)

親切な友人からの借金を踏み倒し、その友人が死んだら喜んだり、肺の病気で死の床にいる妹に嫌がらせをしたり・・・。全く共感できない主人公が描かれていますが、解説によると、事実そのままに近い自叙伝的作品とのこと。谷崎さんって、どうしようもない「イヤ…

悲劇のヒロイン(その4)『ヒポクラテスたち』

1980(昭和55)年の、京都の医科大学の学生たちを描いた映画で、元キャンディーズの伊藤蘭ちゃんの復帰第一作です 視聴したのが30年以上前なので、あらすじは覚えていませんが、優秀な医学生だった蘭ちゃん(の演じる学生)が医者への適性に絶望して、悲劇的…

中内さん 偉い! 『戦争体験と経営者』(その2)

ダイエー創業者の中内㓛さん。1980(昭和55)年に京都国際会館で開催された関西財界セミナーにおける彼の発言に感動しました。議長役である住友金属会長が、憲法改正やソ連を仮想敵国とした防衛力の強化、徴兵制の必要性などを述べたことに対して、誰もが沈…

明治のクロスドレッサー 『秘密』(谷崎潤一郎)

谷崎さんの初期の短編で、発表は1911(明治44)年。 主人公の「私」が、女装をして毎晩街をうろつくという、すばらしい内容です。前半は梶井基次郎の『檸檬』に似ている感じがしましたが、梶井さんがパクったというわけではなくて、「現実逃避」という面が似…

復員のおねだん 『戦争体験と経営者』(岩波新書)

『瀬戸内少年野球団』『犬神家の一族』など、終戦直後を描いた作品では、復員者に重要な役割が与えられることがありますが、『戦争体験と経営者』という本に、復員に関する興味深いことが書いてあったので抜粋しておきます。なお、文中に「中内」とあるのは…

ホンマにあり? 『俺物語!!①』

自宅に第1巻だけある『俺物語!!』という漫画。ゴリラのような猛男(たけお)に、かわいい大和(やまと)ちゃんが恋をするという内容ですが、こんなこと、本当にあり得るの?というのが、男としての正直な感想です。

悲劇のヒロイン(その3)『瀬戸内少年野球団』

1984(昭和59)年の映画。主演の夏目雅子さんが27歳でお亡くなりになったのも悲劇ですが、映画の中では、武女(むめ)さんの悲劇が際立っていました。戦争犯罪人とされた父親が処刑された後、小6(?)の女の子でありながら少年野球チームに入り、アメリカチ…

異界への旅 『坑夫』(夏目漱石)

漱石さんの作品の中で、あまり人気のない『坑夫』。自殺まで考えて家出をした主人公が、ぽん引きに引っかかって足尾銅山に連れて来られるという内容です。差別用語や差別的な見方が満載で、取り扱いにくい小説だと思いましたが、足尾銅山とそこで働く坑夫た…

文化の役割 『K-POP』(岩波新書)

興味・関心からほど遠く、熟読はできませんでしたが、ソウル生まれの著者の「あとがき」に、印象的なことが書かれているので、抜粋しておきます。(以下、抜粋) 2012年から2017年までのあいだは、日本で研究者として生きる私にとっても、複雑な思いを抱いて…

本当はすごい!炭鉱(8月25日「朝日新聞」)

夏目漱石の『坑夫』を読み始めた直後、全くの偶然ですが、朝日新聞の書評欄で『炭鉱と「日本の奇跡」 石炭の多面性を掘り直す』という本が紹介されていました。興味深い紹介文なので、一部抜粋しておきます。(以下、抜粋) 新幹線の長大なトンネルを掘る技…

悲劇のヒロイン(その2)『Dear Friends』

北川景子さんの、若い頃の映画。(今でも十分にお若いですから、お怒りにならないでくださいね。景子様m(__)m。)癌のために髪の毛が抜けたり、女性の大切な部分を切除されたりという、壮絶な闘病生活が描かれていましたが、反抗期という設定であったため、…

ホラーは女優の登竜門?(その6)『リング2』

『リング2』のクライマックス(恐怖の頂点)は、古井戸の内壁を舞台とした、貞子さんとの「クライミング競争」に設定されていると思うのですが、実際は深田恭子さんが演じる香苗さん関係のお話の方が怖いと感じました。(貞子さん、本当にごめんなさいm(__)m…

韓国のヒップホップ 『K-POP』(岩波新書)

ほとんど関心の無い分野ですが、今年7月に発行されたばかりの岩波新書ということで、条件反射的に借りてしまいました。最後まで読み切る自信はありませんが、覚えておいてもいいかな~と思った部分を抜粋しておきます。(以下、抜粋) 七〇年代にニューヨー…

漱石さんは教育不信?(『坑夫』より)

夏目漱石の『坑夫』。理屈っぽくてよくわからない内容ですが、主人公の内面の「つぶやき」っぽい箇所に、教育批判めいたことが書かれていたので、抜粋しておきます。 (以下、抜粋) 世間には大変利口な人物でありながら、全く人間の心を解していないものが…

時代劇へのつなぎ? 『冠弥左衛門』(泉鏡花)

鏡花さんの実質的な処女作。時代劇映画の製作が始まる15年も前に書かれた作品ですが、歌舞伎・浄瑠璃を意識し、舞台で演じられることを期待して書いたと思われます。勧善懲悪ではありますが、「善」の側の動きがまどろっこしくて、いらいらします。(具体的…

ホラーは女優の登竜門?(その5)『仄暗い水の底から』

黒木瞳さん主演。ホラー映画の中でも上位にランクインしたことがある作品で、確かに怖いといえば怖いのですが、私はあまり高く評価していません。「パクリ」としか思えないからです。パクられた作品は、津島佑子さんの『水辺』。①アパートの屋上の給水塔にト…

悲劇のヒロイン(『タイヨウのうた』)

沢尻エリカ様といえば『1リットルの涙』が有名ですが、私は全く観ていません。『タイヨウのうた』も、リアルタイムで観たわけではないのですが、通勤途中の車の中で、主題歌をラジオで聴いて興味を持ち、DVDで視聴しました。ホラーにしても難病にしても、若…

サイバーとサバ(8月26日「読売新聞」より)

本日の読売新聞の1面に、二つの気になる記事が出ていたので、簡単にまとめておきます。 ①アメリカの潜在的敵対者たちは、かなり前からアメリカの電力網にマルチウェア(悪意あるプログラム)を埋め込んでいるので、突然広範囲にわたる停電が発生して経済が混…

ホラーは女優の登竜門?(その4)『犬神家の一族』

横溝さんといえば『犬神家』と言ってもいいくらい有名な作品なので、主要なストーリーについては省略します。というのは言い訳で、主要なストーリーの中で特に重要なはずの、「事件の謎解き」部分が思い出せないのです(´;ω;`)。最も印象に残っているのが、…

トレンドは、働き方より怠け方?(8月25日「朝日新聞」より)

本日の朝日新聞書評欄に、タイトルを見ただけで内容が似ていると思われる2冊の本が紹介されていました。①『怠ける権利! 過労死寸前の日本社会を救う10章』②『なるべく働きたくない人のためのお金の話』の2冊です。特に、①を紹介した文章の一節が印象に残っ…

ホラーは女優の登竜門?(その3)『八つ墓村』

1977年松竹版の『八つ墓村』。脇役の一人にすぎませんが、山本陽子さんの暗い表情が印象的でした。彼女に限らず、当時の一流俳優たちによる「キャラの立った」名演に今さらながらほれぼれします。上映当時の私は、「落ち武者殺し」「津山事件をモデルにした…

不思議な宴会の夢

自分を主賓として大勢の人が宴会を開いてくれたのですが、セルフサービスで料理を取りに回っても、自分の分をほとんど取ることができず、「飲む時にはほとんど食べないし、まあいいか」と思ったところで夢が終わりました。見た理由は不明ですが、近い将来に…

読売さんも、戦争反対!(8月12日『読売新聞』)

処分しようとした8月12日の読売新聞に、漫画家ちばてつやさんの手記が掲載されていました。ちばさんは、終戦時旧満州に住んでいらっしゃって、命がけで「引き揚げ」ていらっしゃったとのこと。読売新聞の社主渡辺さんが、安倍さんに「戦争のことを知りなさい…

ホラーは女優の登竜門?(その2)『テケテケ』

地方都市の都市伝説であったと思われるテケテケさんが、全国区にさっそうと登場していらっしゃったのは、2009年の映画がきっかけでしょうか?『怖い女』という学術書や、『追いかけるもの』という論文にも登場なさって、確実に有名人(?)への道を歩まれた…

黄金色の虫の夢(台風の夜)

台風の音でほとんど眠れなかったのですが、うつらうつらした時に、黄金色の虫を家の中で見つけた夢を見ました。虫といっても動きはなく、形も天人が空を飛んでいるような複雑な形なのですが、夢の中の私はなぜか虫だと思い込み、外に逃がしてやろうと思った…

台風の虹?

雨が降ってもいないのに、自宅の部屋からすぐ近くに、虹が観測されました。

『なぜ時代劇は滅びるのか』(新潮新書)

著者は、時代劇・映画史研究家の春日太一氏。40代になったばかりの春日氏の、時代劇に対する愛情と、時代劇の衰退に対する嘆きが切々と感じられる、感動的な本です。特に印象に残ったのは、大河ドラマの劣化について。昔の大河ドラマ『徳川家康』について書…

9年間何もなかったの(?_?) 『外科室』(泉鏡花)

鏡花さんの初期の有名な作品。9年前に一目ぼれし合った男女が、手術の執刀医と患者として再会する短編。文章からは、9年間会わなかったように読み取れますが、そんなことって「あり」なんですかね?しかも、自分の想いをうわ言などで家族に知られたくないた…