2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

無理な設定の幻想小説 『雪霊記事』『雪霊続記』(泉鏡花)

雪のため、汽車が武生(越前の府)から先に行けなくなって、仕方なく武生に宿をとることになった主人公が、昔世話になったお米さんという女性を訪ねて虎杖(いたどり)の宿に歩いていこうとする内容で、1921(大正10)年に発表された小説ですが、虎杖の宿は…

薄幸の極致? 『浅草の姉妹』(川端康成)

鉄火肌の長女、門付けの次女、踊子の三女。彼女たちが社会の最下層に近い所で、男に弄ばされそうになりながらも、たくましく生きていく様子が描かれています。10代前半の門付け女のグループが、おれん(三姉妹の長女)をならず者の男たちから助ける場面は、…

手土産は生首! 『天守物語』(泉鏡花)

1917(大正6)年に書かれた『天守物語』。姫路城の和やかな場面で始まりますが、お城のお姫様に客として来た、亀姫の手土産は男(自分の夫)の生首という、とんでもない戯曲です。ただ、終わり方がイマイチなので、名作という扱いにはならなかったのでしょう…

『雪国』(川端康成)について

「涼」を求めて、何10年かぶりに読み返した『雪国』ですが、主人公の島村という男性には全く感情移入できませんでした。親譲りの財産で生活し、妻子が東京にいるのに、温泉町の芸者駒子に頻繁に会いに行き、何日も逗留する・・・なんて しかも、駒子とも行きず…

人の不幸を祈るだけはなりたくないと思っていたけれど 『怜子』(中島みゆき)

中島みゆきの初期の曲『怜子』。こんなマイナーな曲まで聴くことができるようになって、便利な世の中になったものですが、聴いた当時の切なさを思い出して、ホントにいいことなのかな~という気もします。 惚れられると 女は ホントに 変わるんだね ♪ 女性を…

な、な、なんで? 『NANA 14』

古本の整理をしていたら『NANA』の第14巻が出てきました。断片的にしか読んでいないし、人物関係も忘れているのですが、久しぶりに読んだこの2ページ、シリアスとコミカルが混合していて、なかなかいいなと思いました。

ツルナシインゲンの花

大雨の後の猛暑にもめげず、ツルナシインゲンの花が咲いてくれました。ちなみに「インゲン」という名は日本黄檗宗の開祖である隠元からとったそうですが、私には「○○無し人間」と自分のことが言われているように聞こえてドキッとします。

ハードからサービスへ 『EVと自動運転』(岩波新書)

副題は「クルマをどう変えるか」で、今年の5月に発行された本です。クルマがEV(電気自動車)や自動運転のクルマに変わっていくだけでなく、クルマの利用の仕方が劇的に変わっていく近未来の様子が書かれていて、ちょっと驚きました。すでに日本でも、カーシ…

なぜ液晶が勝ったのか? 『EVと自動運転』(岩波新書)

自動車にはほとんど関心がないのですが、いつも行く図書館の「新刊図書」のコーナーに並べられていた岩波新書なので、条件反射で借りてしまいました。案の条、読んでいてもあまり興味は湧かないのですが、ブラウン管から液晶テレビに移行した理由について、…

ポジティブなラディカリズム 『現代社会はどこに向かうか』(岩波新書)

副題は「高原の見晴らしを切り開くこと」で、今年の6月に発行された本です。著者は社会学者の見田宗介氏で、ロジスティック曲線(ある生物が爆発的に増殖した後は増殖を減速し、やがて停止して安定平衡期に入ることを示すS字型曲線)を示しながら、社会の今…

絶対不可能! 『90分でわかるヴィトゲンシュタイン』

ヴィトゲンシュタインが90分で「わかる」なんて、絶対無理だと思いつつ読みました。予想通りわからなかった(*´▽`*)のですが、彼がしようとしたことは、なんとなくわかってきました。要するに「哲学の破壊」。哲学はトートロジー(同語反復)に過ぎないこと…

皇室って大変! 『光明皇后』(中公新書)

聖武天皇と光明皇后が、同い年で幼なじみでもあったこと、聖武天皇が生まれてから36年間も母親に会っていなかったことなど、意外なことが書かれています。気の毒に思ったのは、聖武天皇と光明皇后の娘の阿倍さん。孝謙天皇(女帝)として聖武天皇の跡を継ぎ…

奇跡?丁寧? 『夏子の酒 4』

奇跡的な日本酒を描いた『夏子の酒』。丁寧な酒造りの話ですが、第4巻の花火の場面、丁寧に描かれています。(日本酒が飲みたくなってしまいました(´;ω;`))

心の一つくらい 女だって持ってる 『ひとりぽっちで踊らせて』

研ナオコの『ひとりぽっちで踊らせて』、作詞作曲は中島みゆきだったのですね。大学に入り、失恋したころ、先輩の女性が歌ってくれて癒やされた思い出があります。

百恵ちゃんとさだまさし 『秋桜』

最近なぜか気になっていた山口百恵ちゃんとさだまさし氏ですが、百恵ちゃんの曲の中で私が一番好きな『秋桜』、作詞作曲はさだ氏だったのですね。知っていたはずなのに忘れていました。そういえば31年前の私の結婚披露宴において、配偶者が一つだけ要望した…

枕詞にも意味がある? 『ちはやふる⑪』

全巻を読んでいるわけではありませんが、『ちはやふる』11巻の第六十三首が好きです。

AZUMI 12

暑すぎたせいで視力が衰え、今日はマンガ「AZUMI」の12巻でガマンしました。桂小五郎、坂本龍馬が出てくる豪華版ですが、個人的には、自分が新婚のころに住んでいた伏見が描かれてるので、手放したくない一冊です。

「義経千本桜」(浄瑠璃)を読んで

『竹田出雲・並木宗輔 浄瑠璃集』(新日本古典文学大系93 岩波書店)に入っているのを読んだのですが、一段一段が長くて苦労しました。味方と思われた人が敵であったり、死んだはずの武将が実は生きていたり等、奇想天外のあらすじです。主人公のはずの義経…

「謎の空白時代」(立花隆)

暑すぎて、本を読んでも全く頭に入ってこない(自分の頭の悪さを暑さのせいにしているだけ?)ので、今まで読んだ文章の中で、特に好きな文章を入力することで認知症のリハビリをしたいと思います。30年前に発行された『青春漂流』という本のエピローグの一…

『金融政策に未来はあるか』(岩波新書)

今年6月に発行された本で、経済学関係の数式や理論については、ほとんど理解できませんでした。ただ、大学の経済学部に関することが「おまけ(?)」のような感じで書いてあったので、図書館に返却する前に、その部分だけ抜粋しておきます。(以下、抜粋) …

ムシの知らせ? 不思議な思い出

過去に体験した、不思議な出来事を記録しておきます。私の貴重な出会いの記録でもあるからです。 ①平成3年、職場の同僚が事故で亡くなりました。まだ20代だった彼には、フィアンセがいたという噂を聞き、とても気の毒に感じました。 ②平成23年、不本意な人事…

『六〇歳から「生まれ変わる」禅の作法』(毎日新聞出版)を読んで

「禅についての深い教え」というよりも、「退職後に健全に生活するための心構え」が書かれている本です。もともと「禅」というのは、日常生活における一つ一つのことを大切にする教えなのかな、と思いました。特に印象に残った一か所だけ抜粋しておきます。…

真夏の夜の怪?

昨夜から今朝にかけての就寝中、誰かに話しかけられたような気がしたのに、目を開けると誰もいない、ということが複数回ありました。このことの原因を、いくつか考えてみました。①物の怪のいたずら。②ご先祖様か何かが、あることを警告してくれようとしてい…

『90分でわかるフーコー』を読んで

確かに90分ぐらいで「読めた」のですが、それで「わかった」かといえば、はなはだ心もとない感じがします。もちろん、こういったお手軽本で深い理解を期待するほうが悪いんだと思いますが。フーコーの概略については、「訳者あとがき」にシンプルにまとめて…

知と権力 『90分でわかるフーコー』

フーコー本人の著作(もちろん日本語訳)には、何回も挫折しているので、お手軽そうな『90分でわかるフーコー』という本を借り、半分ほど読みました。確かに読みやすいけど、フーコーに対する理解が深まったとは思えません。ただ、ポイントかな?と思われる…

安らかにお眠りください 杉浦日向子先生

7月22日は、私の尊敬する漫画家 杉浦日向子先生のご命日です。杉浦先生は、『合葬』など、江戸を舞台とした作品を中心に描かれましたが、46歳でお亡くなりになりました。ここでは『百日紅(さるすべり)』にある魅力的な花魁の絵を載せて、鎮魂の意を表した…

教育改革への違和感 『暴走する能力主義』

副題は「教育と現代社会の病理」で、今年の6月に発行された本です。現在行われつつある教育制度改革を批判するだけでなく、社会学の立場から、そのようなことが繰り返される理由も書かれていて、普段感じていた「胡散臭さ」を見事に説明してくれました。難…

教育の病理を鋭くえぐる『YELL』(いきものがかり)

『暴走する能力主義』(ちくま新書)を読んでいて、いきものがかりの名曲『YELL』を思い出しました。その歌詞の一節を抜粋します。(以下、抜粋) 僕らは なぜ 答えを焦って 宛(あて)の無い 暗がりに 自己(じぶん)を探すのだろう 誰かを ただ 想う涙も …

「三国志」の違和感 『劉備と諸葛亮』

三国の中で、蜀の劉備と諸葛亮が特に英雄視されることに違和感を持っていましたが、文春新書『劉備と諸葛亮』を読んで、自分の違和感が間違っていなかったことがわかり、ほっとしました。特に天才軍師扱いをされる諸葛亮が、決して実戦が上手ではなかったと…

『暴走する能力主義』(ちくま新書)

タイトルに魅かれて借りたのですが、私には理解困難です。ただ、ちょっとだけ分かったような気がする一部分だけ抜粋しておきます。(以下、抜粋) 私たちは「○○教授!、ノーベル賞受賞!」のニュースを聞いて、はじめてその○○教授がすばらしい能力をもった人…