2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

成績から見た歴史 『なぜ古典を勉強するのか』

いくつかの随想的文章からなる本ですが、「成績という文化」が面白かったです。(以下、適当にまとめておきます。) ①三島由紀夫は、東大法から大蔵省に入った超エリートと思われているが、実際はそれほど成績がよかったわけでもなく、本人は隠していたが、旧…

10カ月かけてやっと読了 『失われた時を求めて 12』(岩波文庫)

第12巻のタイトルは、「消え去ったアルベルチーヌ」。巻末にある「訳者あとがき」の中に、読了者の慰めになるようなことが書かれていました。(以下、抜粋) 『消え去ったアルベルチーヌ』は、恋人を失った悲嘆が少しずつ癒えてゆく心中のできごとにのみ数百ペ…

バブル嫌い 『内田樹による内田樹』

内田先生が、ご自身の著書『下流志向』について書かれた文章の中に、印象的な部分がありました。(以下、抜粋) バブル最盛期に高校のクラス会がありました。その席で、参加者全員が株と不動産の話をしているときに、話題に加わらない僕に向かって、友人が「な…

目からウロコの本 『内田樹による内田樹』

内田樹先生が、ご自身の書かれた本・翻訳された本について、ご自身で解説をするという趣向の本です。最も印象に残ったのは、『レヴィナスと愛の現象学』の解説でした。 ユダヤ人の哲学者レヴィナスが、ホロコーストを神が止めなかった理由について徹底的に考…

歩き続ける夢

先ほどまで見ていた変な夢。遠足か何かの帰りに、なぜか最寄りの駅の一つ手前の駅で降り、最寄りの駅まで延々と歩き続けるという内容でした。途中に神社のある丘があって急な坂を登り降りしたり、雪が残る道をなぜか草履で歩いたりして大変な道でしたが、な…

屁理屈じじい 『内田百閒集成11』(ちくま文庫)

『波光漫筆』という随筆に、日本郵船の嘱託として鎌倉丸という船に乗って横浜・神戸間を往復した時のことが書かれています。船の食堂の豪華なメニューを見て、百閒先生特有の屁理屈が炸裂します。(以下、抜粋) 献立表を手に取って見ると、全く大変な御馳走で…

冬のビール 『内田百閒集成11』(ちくま文庫)

昭和24年に発表された『ひがみ』という随筆に、戦中戦後のビールが入手しにくかった頃の思い出が書かれています。(以下、抜粋) 配給の麦酒しか飲めなかったついこないだ内までは、配給だけでは足りないから、よその分も譲って貰った。秋の末から翌年の夏初め…

ようやく新たな展開に 『失われた時を求めて12』(岩波文庫)

語り手(「私」)の元から去った恋人のアルベルチーヌが事故死した後、くよくよ思い悩んだり、アルベルチーヌの「女性関係」を探って新たに傷ついたりしている場面が延々と(300ページ以上)続いていましたが、12巻の半ばに差しかかってやっと次の展開が始ま…

シンクロニシティ?(意味のある偶然の一致?)

毎週の恒例で、本日も市立図書館に行き、数冊の本を借りてきたのですが、そのうちの2冊が、『タンタルス』(内田百閒集成11)と『常識的で何か問題でも?』(内田樹)。自宅に持ち帰って確認してみると、『タンタルス』の解説を内田樹先生が書いていらっし…

『ユダヤ人とユダヤ教』(岩波新書)

専門用語が多く、いちいち意味を確認せず、何とか通読しただけなので、半分以下しか理解できていません。(以下、抜粋) 近代以前のユダヤ人は、国家の保護を当てにできない寄る辺なき存在であった。しかし、西欧で近代国家が建設され、市民権を得たユダヤ人は…

『「地方ならお金がなくても幸せでしょ」とか言うな!』(朝日新書)

ユニークなタイトルの本(サブタイトルは、「日本を蝕む『おしつけ地方論』」)ですが、目からウロコの一冊でした。(以下、抜粋) おしつけ地方論に抗することは、グローバライゼーションという現実から目を背ける妄想を打ち砕くことである。大都市にある格…

突然の再会(個人的なことですがm(__)m)

3月10日(日)の14時ごろ、一人の来客がありました。渡された名刺を見てみると、17年前に卒業し、それ以来会っていなかった(はずの)教え子でした。彼によると、たまたま仕事の関係で近所の家に来て、私の家の前を通りかかり、表札で私の家だと知ったので、…

ビールの味 『内田百閒集成17』(ちくま文庫)

味のあるビールについて抱いていた思いを、百閒先生は見事に表現してくれています。(以下、抜粋) 家に麦酒(ビール)が有るには有ったが、私の好きな麦酒ではない。一般にはうまい麦酒と云う事になっているが、そのうまいと云うのが私には気に入らなかった。う…

『孤独死のリアル』(講談社現代新書)

孤独死について、いろんな観点から述べている本です。孤独死が発見された時の「リアル」な描写は、かなりショッキングでしたが、今後増えるであろう「在宅死」についても、興味深いことが書かれていました。(以下、抜粋) 1970年代までは、自宅で亡くなる人が…