2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

小説を書く小説 『郷愁』(織田作之助)

元気づけに自分でヒロポンを注射しながら、40時間一睡もせずに小説を書き続けるという壮絶な内容の小説です。(以下、抜粋) こんなにまでして仕事をしなければならない自分が可哀相になった。しかし、今は仕事以外に何のたのしみがあろう。戦争中あれほど書…

丁稚と嬢(とう)さんの恋 『船場の娘』(織田作之助)

織田作さんの『船場の娘』、樋口一葉さんの『たけくらべ』にも匹敵する、かわいらしくも切ない話です。これからお読みになる方もいらっしゃるかもしれないので、あらすじは書きませんが、冒頭部分近くに、丁稚の大変さが書かれていたので、その部分だけ抜粋…

編輯者の横暴? 『一番寒い場所』(車谷長吉)

『一番寒い場所』という小説は、東北大学教授の野家啓一氏が、編輯者からの原稿の催促により、神経性の下痢が数ヶ月も止まらないという話から始まり、それを聞いた「私」の、編輯者批判が続きます。(以下、抜粋) 現に私も野家氏と同じように、いま各方面の…

富士山の夢

富士山が夢に出てきました。と言っても、登ったわけではなく、遠くに見えていたという夢です。しかも空が曇っていて、富士山も全体が鼠色がかって、空の下に沈んでいるようでした。富士山が見えることを、誰かと指摘し合っていましたが、それ以外のシチュエ…

「狂」の系譜 『狂』(車谷長吉)

最近、図書館に行くたびに車谷長吉さんの本を借りていますが、今日借りてきたのは、『白痴群』という短編小説集。自宅へ持ち帰って初めて、読んでいる途中の『白痴』(ドストエフスキー)とタイトルがかぶっていることに気づいた私は、かなり認知症に近づい…

19世紀ロシアの嫌煙権 『白痴』(ドストエフスキー)

1868年に発表されたドストエフスキーの『白痴』の中に、ある人物が汽車の中で葉巻を吸った時の話が出てきます。(以下、本文を適当に使いながらまとめます。) ①「彼」は汽車の中で葉巻を吸っていた。 ②「喫煙は禁じられてもいなければ、許可されてもいない…

食品偽装と名称 『あじフライを有楽町で』(平松洋子)

平松さんによると、「鴨なんばん」に使われている鴨は、マガモとアヒルを掛け合わせた交配種である合鴨の場合が多いとのこと。『あじフライを有楽町で』の中で、平松さんはそのことを批判しているのではなく、「名前もまた味のうちだから、いちいちケチをつ…

小カブの発芽とその悲しみ(´;ω;`)

先週蒔いた小カブが、もうこんなに芽を出しました。「筋蒔き」の意味を知らずに適当に蒔いたので、無秩序に生えています。実はこれでもかなり間引きしたのですが、最終的にはこれぐらいの中から1本だけ残しなさいと、ネットのマニュアルに書いてありました。…

ダメ男の極致 『失われた時を求めて12』(プルースト)

同棲していたアルベルチーヌに出ていかれてしまった主人公の「私」は、彼女に帰ってきてもらおうと、いろいろな策を弄しますが、なんとその一つとして、アルベルチーヌの親友のアンドレと同棲することで、アルベルチーヌに嫉妬の気持ちを起こさせようとしま…

幽霊との会話 『岩に菊』(川端康成)

川端さんの小説『岩に菊』では、主人公が幽霊と話す場面が出てきます。主人公「私」の故郷にある岩、その昔、好きな男の帰りを岩の蔭で待ちながら死んだ女の首が、岩の上に出てくるという、ちょっと怖い内容です。(以下、抜粋) 私は鎌倉の古寺の山門を出て…

思い出について(川端康成と小林秀雄)

川端さんの『抒情歌』という作品を読んでいて、ある部分にデジャヴのような「ひっかかり」を感じました。(以下、抜粋) 屋根の上に温室のある部屋で、四五十人もの女が集まり、いち時に思い出の競争をいたしましたなら、部屋から立ちのぼるはげしい悪臭のた…

女性の困難(10月14日「読売新聞」)

本日の読売新聞の書評欄で気になった本は『フェミニスト・ファイト・クラブ』。著者はアメリカのジャーナリストであるジェシカ・ベネットという人で、評者は国際政治学者の三浦瑠麗さん。(以下、抜粋) 女性の困難について日常生活で何となく感じていること…

空を飛ぶ夢 『故郷』(川端康成)

昨日、「空を飛ぶ夢を見なくなった」といったようなことを書いたのですが、今日読んだ川端さんの『故郷』という短編は、故人となった主人公が、空を飛びながら故郷の村を眺める場面から始まっていました。 私のブログとのシンクロは、ただの偶然だと思います…

ドライカレーの作り方 『あじフライを有楽町で』(平松洋子)

平松洋子さんのエッセイ集『あじフライを有楽町で』に、ドライカレーの作り方が書いてあったので、記録しておきます。(以下、抜粋) フライパンに油を少し、まず玉ねぎとピーマンのみじん切りを炒め、ほぐした冷やごはんを入れてぱらっぱらに炒めたあと、カ…

正夢の話 『白い満月』(川端康成)

正夢がどうのこうのと書いた後、川端さんの『白い満月』という作品を読んでいたら、今度は正夢のことが書かれていました。 主人公の「私」が女中として雇っている「お夏」という若い女性が、自分の葬式の夢を見て、死を確信するという話です。(以下、抜粋)…

身投げした娘の話 『不死』(川端康成)

先ほど「飛び降りる夢」を見たことを書きましたが、そのすぐ後に読んでいた『不死』という川端さんの小説に、身投げをした若い女性のことが書かれていて、びっくりしました(*_*)。まあ、この程度は単なる偶然だと思いますが、正夢にならないよう、しばらくは…

飛び降りる夢

滝の上部から、滝つぼに飛び降りる夢を見ました。「飛び降り」といっても自殺ではなく、滝が多い場所の観光の一環のようなもので、専用のクツも貸し出していました。高さもせいぜい10メートルぐらいで、2回飛び降りました。2回目はなぜか水が少なく、飛び降…

「仏像の町医者」から学んだ欽ちゃん

「週刊文春」で連載している「欽ちゃんのボケないキャンパス珍道中」。77歳でありながら駒澤大学仏教学部4年生の萩本欽一氏、今回は夏休みの宿題を仕上げるために、仏像の修復を手掛ける牧野さんという方に会いに行った話が書かれていました。欽ちゃんが牧…

「べき論」嫌い(10月11日号「週刊文春」)

「週刊文春」の書評欄「文春図書館」で、『思弁的実在論と現代について 千葉雅也対談集』という本が紹介されていました。(以下、抜粋) 千葉は原理主義的発想を嫌う。彼が重視するのは、他者とつながりすぎないこと、やりすぎない有限性、そして阿部和重と…

追悼、樹木希林さま(10月11日号「週刊文春」)

「週刊文春」のグラビアページに、樹木希林さんの葬儀に関する記事が出ていました。喪主の内田裕也氏とは喧嘩が絶えず、45年間の結婚生活において、同居していたのは実質数十日。娘の也哉子さんが、「なぜこういう関係を続けるのか」と、希林さんに尋ねると…

黒木華という女優さん

映画もドラマもほとんど観ないので、黒木華さんって、地味な印象しかなかったのですが(m(__)m)、NHKの番組にゲストとして出演しているのをたまたま観て、ほんわかした印象とともに、意外に(<(_ _)>)かわいらしく、好印象を持ちました。ほぼ同時期にネッ…

フェルマーが保険をつくった!? 『人に話したくなる世界史』(文春新書)

文春新書『人に話したくなる世界史』の中に、17世紀フランスの大数学者フェルマーのことが書かれています。「フェルマーの最終定理」で、300年以上も数学者を悩ませたフェルマーですが、彼ともう一人の天才ブレーズ・パスカルとの手紙のやりとりが、保険の基…

ステキな焼き方 『あじフライを有楽町で』(平松洋子)

平松洋子さんのエッセイ集『あじフライを有楽町で』に、ステーキの素敵な焼き方が書いてあったので、記録のために抜粋しておきます。(以下、抜粋) ひとつは、肉はかならず室温にもどしてから焼くこと。わたしはいつも、肉を焼く30分前に冷蔵庫から取り出し…

初めての「かぶ」買い

先日、生まれて初めて自分で「かぶ」を買いました。株式会社の株ではなく、野菜のカブ、しかもその「種」です。本日、裏庭に蒔きましたが、60日ぐらいで収穫の時期になるとのことなので、記録のためにここに書いておきます。 ところでカブの種、一袋にいっぱ…

ノーベル文学賞作家の怪談 『ちよ』(川端康成)

川端さんが旧制一高在学中に書いた『ちよ』。事実関係をめぐる議論がネット上にありますが、私はそれよりも、川端さんの鋭敏な感覚に驚愕しました。幼少期に肉親全員と死別した川端さんは、亡くなった肉親全員が、自分(川端さん)のことを心配して亡くなっ…

不思議な現象(10月8日「日本経済新聞」)

本日の日本経済新聞の第8面に「経済教室」というページがあり、「ふるさと納税」に関する興味深い研究成果が紹介されていました。ちなみに、書いたのは西南学院教授の山村英司氏で、専門は応用経済学とのこと。(以下、抜粋) 返礼品を提供しない自治体へも…

人気者は無能?(10月8日「日本経済新聞」)

本日の日本経済新聞「月曜経済観測」というコラムに、「仏、政権運営の今後は」と題して、経済学者ジャック・アタリ氏へのインタビュー記事が載っていました。編集委員の「マクロン大統領の支持率が急降下しています。政権が流動化し、景気に水をさしません…

砂糖革命 『人に話したくなる世界史』(文春新書)

『人に話したくなる世界史』によると、19世紀における大西洋の奴隷貿易の多くは、イギリス船で実施されていたと今まで考えられていたが、最近の研究で、ポルトガル船が最も多くの奴隷を運んでいたことが明らかになったとのこと。(以下、抜粋) これは、歴史…

核の暴走!(10月7日「読売新聞」)

本日の読売新聞の書評欄で、『核は暴走する』という本が紹介されています。著者は、エリック・シュローサーというアメリカのジャーナリスト。この本には、アメリカやイギリスにおける核を扱う施設の事故が書かれているとのことです。(以下、抜粋) 1961年1…

最後の日の夢(´;ω;`)

「職場へ行くのが今日で最後」という日の夢を見ました。なぜか雪が降っていて、「もう自分がここで雪かきをすることもないんだな」と思い、感傷的な気分に浸っていました。電車とバスを乗り継いで帰宅する途中のどこかで、傘を忘れました・・・という感じの夢で…