本日の早朝読書より

 第一次大戦後、フランスはイギリスとともに中東を植民地支配してきたわけですけれど、果たして、その支配期間を通じて、現地の人々がいずれ宗主国抜きで政治的・経済的に自立できるような社会インフラの整備を行ったのか。行政や司法や医療や学校のような制度資本の充実に資源を投じたのか。この問いに胸を張って「イエス」と答えることのできる旧宗主国民はまずいないと思います。中東に破綻国家を出現させたのも、中東の人々のうちに欧米に対する不信感や憎悪を扶稙したのも、もとをただせば英仏をはじめとする帝国主義列強です。
(『世界「最終」戦争論 近代の終焉を超えて』(内田樹姜尚中著)より)