『雪後庵夜話』(谷崎潤一郎)を読んで

 谷崎が晩年に書いた随筆です。前半に他人の妻(M子)を奪った思い出が書かれていて、ひどい男だったんだな~と思いました。さらに、結婚したM子に自分の子を妊娠中絶させたことまで書いていて、そこまで書く必要があるのかな、とも思いました。ただ、M子とその二人の妹と関わったことが、名作「細雪」の執筆につながったのだと思うと、微妙な気持ちになります。優れた芸術作品は、犠牲によって生まれることもあるのかもしれません。