1938(昭和13)年に発表された、内田百閒先生の『東京日記』、
岩波文庫のカバーでは、「東京幻想紀行」と紹介されています。東京各地での「夢の中のような、変な出来事」がいくつも書かれていて、
漱石先生の『
夢十夜』のような世界が広がっています。
特に面白かったのは、「その三」の誰も乗っていない自動車が走っている話。自動車が普及し始めたころに、すでにそんな想像力を働かせていたなんで、すごいと思いました。しかも、その自動運転の自動車。最後は宙に浮いている!「空飛ぶ自動車」でもあったのです。
ドイツ語の先生というお堅いイメージの百閒先生ですが、なかなかの空想家でもあったようですね。