RCTという実験 『現代経済学』(中公新書)

 『現代経済学』の第5章「実験アプローチが教えてくれること」では、経済学で行われている種々の実験についての説明が書かれています。それらの中で、もっともハードな証拠を提供するとされているのが、「ランダム化比較試験(RCT)」と呼ばれる実験ですが、この実験にも、「一般均衡効果」という問題があるとのこと。(以下、抜粋)

 一般均衡効果とは、少数のサンプルで行ったRCTで得られた結果に基づいて、ある政策を拡張していった場合に、もとのRCTで得られた結果が成立しなくなってしまうかもしれないことである。たとえば、アメリカでは学校のクラスの大きさに関するRCTが行われた結果、少人数クラスの方がより大きな教育効果が得られることがわかっているが、その政策を全米に拡張しても同じ結果が得られるかどうか、という問題を考えてみよう。小さなサンプルで実験したときには、トリートメント・グループでもコントロール・グループでも教師の質はコントロールされているはずである。しかし、少人数のクラスを全体に拡張したとき、十分な教師の質が得られなくなる可能性があるだろう。その結果、教育の質はかえって低下してしまうかもしれないのである。(抜粋、終わり)

 なるほど・・・、わかりやすい例を挙げてくださったものです。