差別内差別? 『移民国家アメリカの歴史』(岩波新書)

 南北戦争期のニューヨークでは、黒人奴隷を解放するために戦争に行かされることを嫌い、徴兵反対暴動が起きたとのこと。暴動を起こしたのは、北部で社会の最下層に位置づけられていたアイルランド系らの白人労働者たちで、彼らは黒人だけでなく、中国人にも暴力を行使したそうです。(以下、抜粋)

 黒人奴隷と同一視されていた弱い過去を克服する手段として、アイルランド系住民はホワイトネスのマスクを新たにかぶり、自分より弱い立場にある黒人と中国人を他者化することで社会的上昇を図っていったのである。そこには、「国民」の境界線上でマイノリティ同士が内部分裂し差別しあう、差別内差別の構造を見て取ることができる。(抜粋、終わり)

 いじめから逃れるために、それまで仲間であった他の子をいじめる側にまわる、といったような構造でしょうか?移民国家とはいえ、アメリカは昔から大変な国だったのですね。(特に、移民にとっては。)