2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

化けるのはなぜ猫なのか? 『黒猫』(泉鏡花)

好きな人への想いを遂げることができず、恨みを抱いて殺された男が、黒猫に乗り移って復讐をたくらむという話です。かわいがられる対象として描かれることが多い 猫ですが、なぜ「化け猫」にもなるのか不思議です。なお、無理な設定や無駄が多く、小説として…

ホラーは女優の登竜門? 『死国』

坂東眞砂子さんの『死国』。ホラー的要素だけではなく、中年にかかりかけた男女の迷いや、四国の風習を描いた名作です。ところで、文庫本の表紙や映画のポスターの女優さん、栗山千明さんだったのですね。こんな幽霊さんであれば、憑依してほしいと思うので…

腐海は不快?(『風の谷のナウシカ』その2)

ナウシカさんって、研究者でもあったのですね。『宮崎アニメの暗号』(新潮新書)に、著者の青井汎氏は次のように書いています。(以下、抜粋) 地球規模の視点に立てば、胞子に侵されることは汚染された大地を浄化するための第一歩なのです。腐海の胞子は、…

「se」で始まる英単語(『試験にでる英単語』より)

本棚の奥から、高校時代にお世話になった『試験にでる英単語』が、ン10年ぶりに出てきました。単語が重要な順に並べてあるので重宝しましたが、「語源」の説明もあったのですね。そのことは、高校時代にはあまり気にしていませんでした。たとえば「se」の意…

「慮外」って何?

杉浦日向子先生の『東のエデン』を読み返していたら、「らしゃめん」の中に、意味深なシーンがありました。一生に一度でもいいから、このようなシーンを演じてみたいと思いました♡

「自虐史観」は罪?

高橋源一郎氏の『丘の上のバカ ぼくらの民主主義なんだぜ2』、明日図書館に返却する予定なので、あと1点だけ印象深かった部分を記録しておきます。 安倍さんと、安倍さんのお友だちの百田さんが、日教組を中心とする「自虐史観」が子どもたちを洗脳してき…

東大法学部の凋落(8月5日「読売新聞」)

古新聞の整理をしていて、8月5日の読売新聞「地球を読む」に掲載されていた「東大法学部の凋落」という文章を読み直してしまいました。書いたのは東大名誉教授の北岡伸一氏。東大では文科1類から法学部に行かない学生が増え、5年連続で定員割れが続いている…

死と再生 (ナウシカさんと清さん)

『風の谷のナウシカ』の最後の場面、ANIME COMICS という本で見た時に、三木清の『人生論ノート』を思い出しました。あまり(というか、ほとんど)関係はありませんが(´;ω;`) 執着する何ものもないといった虚無の心では人間はなかなか死ねないのではないか…

宇宙と宗教の漫画 『暗黒神話』(諸星大二郎)

中学生のころ、散髪を待つ時間に読んだ「少年ジャンプ」で、特に好きだったのが『暗黒神話』。専門家の先生方にとっては、いかがわしい漫画でしょうが、宇宙・宗教・歴史などに興味・関心を持たせてくれる素晴らしい作品だったと思います。

洋妾(らしゃめん)について(鏡花さんと日向子さん)

泉鏡花の小説『金時計』に描かれる洋妾(らしゃめん)は、個性も感じられず、文字通り西洋人の妾というだけの存在ですが、杉浦日向子のマンガ『閑中忙あり』に描かれる元洋妾の「はつ」さんは魅力的に描かれています。時代が過去になったことで、洋妾に対す…

記録(記憶)しておきたい戦後70年

『丘の上のバカ』で、高橋源一郎氏が2015年8月に書いた文章には、当時、いくつかの意外な(?)雑誌が「戦後70年」の特集を行ったことが記録されているので、ここに列挙しておきます。 ①『セブンティーン』9月号特集「17s(セブンティーンズ)で考えよう”…

それぞれの悲しみ 『夜行巡査』(泉鏡花)

鏡花さんの初期の名作『夜行巡査』。鏡花さんには珍しく、余計な部分がほとんどなく、引き締まった短いストーリーなのですが、登場人物たちそれぞれが持つ「悲しみ」が、「優しく、且つ、厳しい視線」を持って描かれています。

無名の傑作! 『義血俠血』(泉鏡花)

鏡花さんが21歳のころの作品です。他の作品のように、化け物が出るわけでもなく、残酷な場面もほとんどありません。悲劇的ではありますが、ほろりとさせられる人情話です。このストーリーなら、月9で現代風にアレンジしてもヒットするのではないかと思いま…

125年前の探偵小説 『活人形』(泉鏡花)

泉鏡花が20歳のころの作品で、解説によると、探偵小説を書いたのは「時代の要請」だそうです。要するに、日清戦争のころの日本人は、普通の小説など求めていなかったとのこと。内容は、登場人物の善悪が明確で、通俗時代劇のようですが、美女が悪い男に苦し…

移民について(8月19日「朝日新聞」より)

「日曜に想う」というコーナーで、編集委員の大野博人氏が「移民」について印象的な文章を載せているので、一部抜粋しておきます。(以下、抜粋) 同性カップルを「生産性」がないと評し、「税金を投入することが果たしていいのかどうか」と発言した自民党議…

この世界に祈りを(『丘の上のバカ』その2)

2015年に起きたパリの同時多発テロ。高橋源一郎氏は、その後に巻き起こったいくつかの反応について書いた後、インド人のモデルの女性がFBに投稿した詩を引用しています。(以下、抜粋) パリのために祈りたいなら祈りなさい でも 祈りを捧げられることのない…

昔の文部省はすごかった?(『丘の上のバカ』より)

『丘の上のバカ』の副題は「ぼくらの民主主義なんだぜ2」です。この本の中で、戦後すぐに文部省が作った『民主主義』という教科書の「はしがき」が紹介されていました。感動的な文なので、抜粋しておきます。(以下、抜粋) 民主主義を単なる政治のやり方だ…

トランプ対米紙!(8月18日「朝日新聞」より)

本日の朝日新聞に、自らに批判的なメディアを「国民の敵」と攻撃するトランプ大統領に対して、380以上のアメリカの新聞が、報道の自由を訴える社説を一斉に載せたという記事が出ていました。アメリカのすごさに驚きましたが、日本でも政権に批判的な新聞社に…

雨にも負けず酷暑にも負けず

今年の夏は、ほとんどすべての生き物にとって、きわめて厳しい夏でしたが、台風一過の今朝、庭のツルナシインゲンが最初の実をつけていました。

「アナ雪」と天皇制(『ぼくらの民主主義なんだぜ』その3)

「アナ雪」が大ヒットしたのって、もう4年も前だったのですね。この『「アナ雪」と天皇制』という文章は、その当時(2014年)に書かれたもので、その中で赤坂真理さんの文章を紹介しています。(以下、抜粋。なお途中の(略)は引用者である高橋氏による。…

私が引き寄せてる?

『日本企業はなぜ世界で通用しなくなったのか』(ベスト新書)という本、最後の方で、著者の林原健氏には幽霊が見えるという内容のことが書かれていてびっくり(*_*) 林原氏は幽霊を研究して人間生活に役立てたいと考えていらっしゃるらしく、そのポジティブ…

恐怖にもあるランキング?

『日本人の死者の書 往生要集の<あの世>と<この世>』(生活人新書)という本を読んでいたら、いろいろな「地獄」について書いてあり、最高に厳しいのが無間地獄とのこと。地獄を描いた昔の絵を見ていたら、気が滅入ってきたので、ユーチューブでも見よう…

「考えないこと」こそが罪(『ぼくらの民主主義なんだぜ』その2)

「論壇時評」集の『ぼくらの民主主義なんだぜ』。その中に、ハンナ・アーレントと現代との繋がりについて考えさせる文章がありました。ユダヤ人虐殺の中心人物だったアイヒマンの中に、アーレントが「凡庸な悪」を見出したということを説明したうえで、(以…

『ぼくらの民主主義なんだぜ』(朝日新聞出版)

高橋源一郎氏が書いた『ぼくらの民主主義なんだぜ』という本。読み始めたばかりですが、最初から考えさせられる部分が出てきたので抜粋しておきます。(以下、抜粋) 原発事故の当事者である「電力総連」から、なぜか、この事故についてのはっきりしたメッセ…

これでいいのか?日本の対応(『権力と新聞の大問題』より)

『権力と新聞の大問題』(集英社新書)は、二人のジャーナリストの対談という形式で書かれています。その中に、昨年の暮れから今年の初めにかけての、米朝危機のことが書かれていました。ニューヨーク・タイムズのマーティン・ファクラー記者が、米軍の動き…

仕事が進まない夢

仕事から離れてからもよく見る「仕事が進まずに焦る夢」。「テスト勉強が進んでいない夢」と同じように、これからも見続けるのでしょうが、実際に仕事をいていた時には、私は仕事が早い方でした。でも「仕事が早い」ということは、表現を変えると「仕事の早…

悪徳と哲学 『新ジュスティーヌ』(マルキ・ド・サド)

『新ジュスティーヌ』は、殺人をも意に介さない酒池肉林と、それを正当化する哲学的主張ばかりの小説で、あまり面白く感じませんでした。しかたなく訳者の澁澤龍彦氏の『サド侯爵』というエッセーも読んでみたところ、意外なことが書かれていたので2点にま…

蛇になった夢

蛇になった夢を見たので、夏目漱石の『夢十夜』のような感じで記録しておきます。 こんな夢を見た。狭いグランドを何週も走る競技に出場していた私は、いつの間にかトップを走っていた。他の選手との差を広げながらも、左右の足を交互に出して走る走り方がま…

「おぼん」について(『さすらいの仏教語』(中公新書))

玄侑宗久さんが書いた『さすらいの仏教語』という本を読んでいたら、「おぼん」についての説明があり、興味深かったので抜粋しておきます。(以下、抜粋) 『仏説盂蘭盆経』という中国のお経によれば、餓鬼道に堕ちた目連尊者(もくれんそんじゃ)の母親を救…

「坊っちゃん」と瀬戸内航路(『もっとヘンな論文』その2)

『「坊っちゃん」と瀬戸内航路』という論文は、『海事史研究』という雑誌に掲載されていたそうです。論文の執筆者山田さんは、アマチュアの研究家で、「漱石が松山に赴任する時、広島から船に乗った」という定説に違和感を持ち、丹念な調査の結果、ご自身の…