『アレント入門』を読んで(感想)

 正義と悪に関する哲学的な考え方にはついていけなかったのですが、本の中ほどに詳しく書かれている、元ナチス親衛隊中佐アドルフ・アイヒマンの裁判に関する内容は、非常に興味深く読むことができました。特に、アイヒマンの主張が筋が通っているように感じられて、私自身は彼の論理に引きずられてしまいそうになりましたが、ハンナ・アレントは(裁判は傍聴しただけですが)、見事に彼の論理を批判していて、感心しました。アイヒマンのように「組織の歯車として犯罪に手を染める」ことは、現代の日本でも十分起こり得ることだと思います。