『フィレンツェ』(岩波新書)を読んで

 副題は「比類なき文化都市の歴史」。苦手なカタカナ文字ばかりで、苦労しましたが、特に印象に残った箇所のみ抜粋しておきます。(以下、抜粋)

 かつてルネサンス様式の市民芸術がフィレンツェで花開いたのは、共和制のもと、アルテ、兄弟会、修道院隣組、親族組織などの「社団」が政治や社会の基礎となり、また都市貴族から小商人や職人にいたるまで、市民たちが自分の家族の名誉を都市の名誉に重ねることができたからだろう。そうした政治的・社会的基盤が失われたとき、芸術は特権的な君主・貴族の美意識と異教の玄義の知的捜索に奉仕するものになったのである。