『墨東奇譚』(永井荷風)を読んで

 作者を思わせる主人公が、小説の中で別の小説の展開を考えている部分があり、全体をどうまとめるのか楽しみでしたが、結局まとめることなく、尻切れトンボっぽい終わり方でした。ただ、若い頃から風俗で遊び慣れている主人公と、私娼のお雪との純愛っぽい関係に、ちょっと胸がキュンとしました。