教育改革への違和感 『暴走する能力主義』

 副題は「教育と現代社会の病理」で、今年の6月に発行された本です。現在行われつつある教育制度改革を批判するだけでなく、社会学の立場から、そのようなことが繰り返される理由も書かれていて、普段感じていた「胡散臭さ」を見事に説明してくれました。難しい部分もありますが、我慢して読む(読み飛ばす?)と、途中から俄然面白くなります。表紙にも挑発的な文章が書かれているので、抜粋しておきます。(以下、抜粋)
 
 学習指導要領は教育システムが育成しようとしている「能力」の理念を間接的に表現している。しかし、その「能力」が「新しい能力」であることを標榜しながら、実は陳腐なものの言い換えにすぎないもので一貫していたとしたらーこれが後期近代という時代に生じる能力論議の病的特質なのである。