韓国のヒップホップ 『K-POP』(岩波新書)

 ほとんど関心の無い分野ですが、今年7月に発行されたばかりの岩波新書ということで、条件反射的に借りてしまいました。最後まで読み切る自信はありませんが、覚えておいてもいいかな~と思った部分を抜粋しておきます。(以下、抜粋)

 七〇年代にニューヨークのスラムで生まれたヒップホップは、アメリカ社会で差別と貧困、暴力に苦しんでいた黒人たちの意識と感情、そしてアメリカ社会での成功と豊かな生活を夢見る欲望を投影するものだった。そのヒップホップの感覚は、(中略)黒人以外の誰が歌っても簡単に変わるものではない。
 しかし韓国においてヒップホップの受容は、高度成長が黄金期を迎えた九〇年代の中産階級の若者によってなされた。つまりヒップホップは、差別と貧困ではなく、豊かさと新しさを表す感覚として溶け込んだのだ。
 いまのK-POPにおけるラップ・ヒップホップは、抵抗や社会性というよりも、ソフトなラブソングや個人の小さな物語に偏っている。その背景には、長い検閲によって抵抗や社会性が排除された韓国歌謡の歴史と、九〇年代におけるラップ・ヒップホップ受容のあり方という二つの文脈がある。(抜粋、終わり)