漱石さんは教育不信?(『坑夫』より)

 夏目漱石の『坑夫』。理屈っぽくてよくわからない内容ですが、主人公の内面の「つぶやき」っぽい箇所に、教育批判めいたことが書かれていたので、抜粋しておきます。
(以下、抜粋)

 世間には大変利口な人物でありながら、全く人間の心を解していないものが大分ある。心は固形体だから、去年も今年も虫さえ食わなければ大抵同じもんだろう位に考えているには弱らせられる。そうして、そう云う呑気な料簡で、人を自由に取り扱うの、教育するの、思う様にして見せるのと騒いでいるから驚いちまう。水だって流れりゃ返って来やしない。愚図愚図していりゃ蒸発しちまう。(抜粋、終わり)