ほしいもと原発 『もの食う本』(木村衣有子)

 図書館でたまたま借りてきた『もの食う本』(ちくま文庫)という本。いろいろな本に書かれている「食」に関する部分を紹介しながら、木村さん自身の考察も付け加えてある、なかなか充実したエッセイ集です。(以下、抜粋)

 気付いたことがある。御前崎市東海村、どちらにも原子力発電所がある。海に面していて、しかし漁業に専念するだけでは潤わない。だから、ほしいもを作ってみよう。そういう気運が共通していたと察せられる。しかし、ほしいもでもじゅうぶんには潤わなかったのだった。原発を誘致した経緯が、ほしいもの向こうに透けてみえる。(抜粋、終わり)

 ちなみにこの文章は、『ほしいも百年百話』という本を紹介しながら書いたエッセイです。木村さんはかなりの読書家のようですが、読んでいる本に書かれている「食」に関する部分を、おいしく料理して提供してくれるようで、楽しみながら読んでいます。