貨幣は贈与から!? 『現代経済学』(中公新書)

 貨幣の起源は交換ではないという説を、人類学者のデイヴィッド・グレーバーとエコノミストのフェリックス・マーティンが唱えていると、『現代経済学』に書かれています。(以下、抜粋)

 彼らの説によれば、貨幣は交換から発生したのではなく、むしろ貸借の記録という会計(accounting)から発生した。信用の機能から発生したと言ってもよいだろう。グレーバーによれば、人類の歴史のなかでは、市場経済でも物々交換経済でもなく、贈与経済が一般的であった。この経済は、現在または将来における「お返し」に関する明確な同意に基づかずに財やサービスを贈与しあうことが特徴的である。
 こうした贈与で発生する「負債」は、もともとは社会的互恵性を原理とする相互的な義務のネットワークに組み込まれたもので、明確に測定されるようなものではなかったと思われるが、次第にそこに何単位の負債を負っているというような測定の単位ができてきたのだろうというのがグレーバーの主張である。(抜粋、終わり)

 「贈与経済」って、心があたたかくなるような言葉ですね。昔の方が、よかったのかも・・・。