『あなたもきっとできる 気持ちがラクになる介護』(主婦の友社)

 「気持ちがラクになった」とは、とても言えませんが、認知症のお年寄りとの接し方、施設の種類などが書かれていて、参考になりました。特に、実際に介護を経験した人の体験談には心を打たれました。その中でも、19歳の時から30年間にわたって、実父や姑など身内5人の介護と看取りを経験したという羽成幸子さん(エッセイスト)の話は強烈に印象に残りました。「介護とは、突き詰めれば、相手の排泄物の処理を引き受けること」だという羽成さんですが、(以下、抜粋)

「介護しないのは親不孝ではないと思う。でも、介護はしないよりしたほうが得ですね。親の介護と看取りは、自分の老いと死のリハーサル、親の老いと死を受け入れることは、自分の老いと死を受容することにつながります。また、人間は簡単に死ねないということも介護を通して知りました。病気になっても体が不自由になっても、それだけでは死ねないんですよね。人間はとことんまで生き切らないと死はやってこない。逆にいえば死は一生懸命に生きたことへのご褒美であり、それを見せるのは遺す人への一番の財産です」(抜粋、終わり)