看護師が足りない! 『看護の質』(岩波新書)

 『看護の質』、ショッキングな内容でした。入院期間短縮化と在宅化が政策的に推進され、看護の現場がひずみをかぶり、医師不足によって、看護師が医療行為をせざるをえなくなっている現状が書かれていました。当然、過酷な労働環境に心身ともにバーンアウトして辞めていく看護師も多いとのこと。(以下、抜粋)

 日本看護協会の「2015年病院看護実態調査」によれば、14年度の常勤で働く看護職員の離職率は10.8%、新卒の看護職員では7.5%となっており、ここ数年、同程度で推移しているが、年間で15万人近くが辞めていることになる。(中略)その結果、勤続年数「5年未満」以下が約4割をしめ、平均でも10.7年にしかならず、35歳未満の看護師が56.5%を占める(日本医労連)。超急性期の私立大学病院では軒並み平均年齢が28~29歳となっている。(抜粋、終わり)

 なお、この本の副題は「患者の命は守られるのか」。2025年問題を控え、医療費を抑えたいという意図は分かりますが、命よりも経済を優先するのは本末転倒のような気がします。