ポピュリズムについて 『フランス現代史』(岩波新書)

 先ほど読み終えた『フランス現代史』に、ポピュリズムについて分かりやすく説明してあったので、記録しておきます。(以下、抜粋)

 21世紀に入り、政治は、効果と意義と実現可能性をもった政策の構想と提示よりは、政治家の人格やイメージの売り込みという色彩を強めてゆく。人格とイメージを売り込むためには、人びとがいかなる政治家を求めているかをマーケティングによって把握し、それにもとづいて採るべき人格を構想し、パッケージ化し、単純化し、人びとの感情に訴える広告活動(キャンペーン)を展開して浸透をめざすことが効果的である。この政治形態こそ、いまや日本に暮らすわれわれにとってもなじみ深い語となったポピュリズムである。
(中略)
 ポピュリズムが浸透したことの背景には、政治が複雑になって人びとにとって遠い存在となったことと、民衆層と政治の担い手すなわち支配階層との距離が拡大したことがあった。この場合、有権者たる民衆層にとって、複雑な政治を単純化して伝えてくれる存在が必要である。それが、ポピュリズムを奉じる政治家であり、イメージに訴えて「ピープル」をめざす成り上がり政治家である。「ピープル」という語が人口に膾炙するという現象には、政官財トライアングルの(多少の、ではあるが)揺らぎという、政治さらには社会の変容がみてとれる。(抜粋、終わり)

 ちなみに「ピープル」とは、日本における「セレブ」に相当する「有名人」を指し、それも若干の揶揄をこめて用いられる語だそうです。