急に読みやすくなった『失われた時を求めて』

 大長編小説『失われた時を求めて』。ブルジョアや貴族のサロンを描いた場面が多く、正直言って「どうでもいい話」なので、読み進めるのに難儀してきましたが、全14巻(岩波文庫)中の第13巻の中盤に来て、急に読みやすくなりました。話の内容が、第一次世界大戦になったからだと思います。すぐに終結すると思われていたのに、だらだらと長引き、多大なる犠牲を出してしまった第一次世界大戦。語り手(主人公)は、兵士として戦ったわけではありませんが、戦時中のパリの人々の様子が描かれていて、興味深く読み進めることができます。特に、パリから若い男性がいなくなって、交際相手をなくした某男爵の嘆きは、「こんな視点もあったんだな」と気づかせてくれました。(ただ、こちらの仕事も忙しくなり、あまり読書の時間が取れないのが残念(´;ω;`))