『90分でわかるフーコー』を読んで

 確かに90分ぐらいで「読めた」のですが、それで「わかった」かといえば、はなはだ心もとない感じがします。もちろん、こういったお手軽本で深い理解を期待するほうが悪いんだと思いますが。フーコーの概略については、「訳者あとがき」にシンプルにまとめてありますので、それを抜粋しておきます。(以下、抜粋)

 現代に生きている少なからぬ人が、過去の人よりも物事をよく見通せると思っているのではないだろうか。(中略)こう思っている人が少なくないに違いない。
 これを真っ向から否定するのがフーコーである。
 フーコーはどの時代も特有のものの見方を持っていると説く。どの時代の人間もその特有のものの見方にとらわれ、その外に出ることはできない。誰もが一定の思考の枠組みにとらわれている。そう主張するのである。
 とすれば、今の時代の見方のほうが過去のものの見方よりも優れているか疑わしいことになる。しかも、フーコーはさらにセンセーショナルな主張を繰り広げる。ものの見方ないし知識には、権力が不可分に結びついてる。一定のものの見方には一定の権力が結びついている!知と権力は一体化している!(抜粋終わり)