『六〇歳から「生まれ変わる」禅の作法』(毎日新聞出版)を読んで
「禅についての深い教え」というよりも、「退職後に健全に生活するための心構え」が書かれている本です。もともと「禅」というのは、日常生活における一つ一つのことを大切にする教えなのかな、と思いました。特に印象に残った一か所だけ抜粋しておきます。(以下、抜粋)
「即今(そっこん)、当処(とうしょ)、自己」
即今はたったいま、その瞬間ということ、当処は自分がいるその場所でということ、自己はほかの誰でもない自分自身でということです。ですから、その瞬間に、自分がいる場所でやるべきことに、自分自身のすべてを投入しなさい、というのがこの禅語の意味になります。
これがまっとうしている姿、生ききっている姿といっていいでしょう。そのようにして生ききったら、死にきることができます。死にきるとは、死を自然に、あるがままに、受け容れることだと思います。(抜粋終わり)