『金融政策に未来はあるか』(岩波新書)

 今年6月に発行された本で、経済学関係の数式や理論については、ほとんど理解できませんでした。ただ、大学の経済学部に関することが「おまけ(?)」のような感じで書いてあったので、図書館に返却する前に、その部分だけ抜粋しておきます。(以下、抜粋)

 大学の経済学部に入学すると、まず教え込まれるのが「限界費用」という考え方である。限界費用とは、市場で取引されている財と同種同等のものを追加的に一単位生産するのに投入を要する費用のことで、たとえば、食パン一斤を追加的に製造するのに必要な小麦粉がいくらで、パン焼き釜の燃料費はどれほど、さらにパン職人の手間賃はこのぐらい、というような具合に積み上げていった費用、これが限界費用である。
 経済学者が限界費用という考え方を重視する背景には、その財が自由に製造されて取引される限り、市場での取引価格が限界費用を上回れば生産が増加し下回れば減少して、結局は市場価格と限界費用とが一致するだろうという見通しと、そうすることで市場は人々の経済活動レベルが世の中の富を最大限にすることになるよう資源間配分を調整する役割を果たすという、これは信念あるいは価値判断のようなものがある。自由な市場は取引価格と限界費用とを一致させる性質がある、そして自由な市場こそ世にある資源を最も有効に活用し社会の豊かさを最大にするシステムなのだと考えるのが、大学で教えられる経済学の全体を支える理念のようなものである。(抜粋終わり)