なぜ液晶が勝ったのか? 『EVと自動運転』(岩波新書)

 自動車にはほとんど関心がないのですが、いつも行く図書館の「新刊図書」のコーナーに並べられていた岩波新書なので、条件反射で借りてしまいました。案の条、読んでいてもあまり興味は湧かないのですが、ブラウン管から液晶テレビに移行した理由について、興味深いことが書かれていたので抜粋しておきます。(以下、抜粋。ちなみに、テレビにもほとんど関心はありません(´;ω;`)。)

 画質で液晶よりも優れていた様々な方式が、なぜ敗れたのか。それらも技術的な困難を抱えていたこと、液晶に比べてコストが下がらなかったことなど様々な要因はあるだろうが、一番の理由は、多くの企業が液晶を選び、そこに多くの投資がなされたことである。それにより部材のコストが下がり、カラーフィルムや液晶材料の進化が進み、色合いの問題や、応答速度の問題は次第に改善されていった。
 ではなぜ多くの企業が液晶をえらんだのか。その最大の理由は、当時はチャレンジャーだった韓国企業、そしてその後に参入してきた中国企業に「ブラウン管技術の蓄積がなかった」からである。ブラウン管テレビの経験が生かせる技術で勝負すれば、日本企業に負けるのは分かっていた。だから、蓄積がなくても参入しやすい液晶に多くの企業が殺到し、その結果、液晶が勝者となったのである。液晶が最も優れた技術だから勝者になったのではなく「新規参入企業でも勝てる可能性がある技術」と認識されたからこそ液晶は勝者になったのだ。(抜粋終わり)