『雪国』(川端康成)について

 「涼」を求めて、何10年かぶりに読み返した『雪国』ですが、主人公の島村という男性には全く感情移入できませんでした。親譲りの財産で生活し、妻子が東京にいるのに、温泉町の芸者駒子に頻繁に会いに行き、何日も逗留する・・・なんて しかも、駒子とも行きずりの愛以上の関係になろうとせず、葉子という女性にも魅かれていく・・・というだけのストーリーですが、「この小説はストーリーを読ませる小説ではないという点で、ドストエフスキープルーストに近い」というような伊藤整の解説に納得しました。ちなみに今回読んだ本は、中学生のころ120円で買った新潮文庫です。