文化の役割 『K-POP』(岩波新書)

 興味・関心からほど遠く、熟読はできませんでしたが、ソウル生まれの著者の「あとがき」に、印象的なことが書かれているので、抜粋しておきます。(以下、抜粋)

 2012年から2017年までのあいだは、日本で研究者として生きる私にとっても、複雑な思いを抱いて過ごす時間だった。何より、ヘイトスピーチがネットの内外を問わず日常化したことで、自分が日本の社会に根づいたと思っていた分、大きな驚きと悲しみを感じていた。しかし同時に、音楽(を含む文化)と人びとの力が、反目や嫌悪のこれ以上の蔓延をみえないところから抑制しているのではないかという判断と実感が、その一方にはあった。一見ナイーブにみえるかもしれないこのような観点こそ、本書を書くモチベーションだった。(抜粋、終わり)