100年前のサイコパス? 『異端者の悲しみ』(谷崎潤一郎)

 親切な友人からの借金を踏み倒し、その友人が死んだら喜んだり、肺の病気で死の床にいる妹に嫌がらせをしたり・・・。全く共感できない主人公が描かれていますが、解説によると、事実そのままに近い自叙伝的作品とのこと。谷崎さんって、どうしようもない「イヤなヤツ」だったのですね。ただ、そんな自分を客観的に描写することができるのは、すごいことだと思います。