女人地獄使? 『二人の稚児』(谷崎潤一郎)

 生後すぐに比叡山延暦寺に預けられ、女性を知らずに育った二人の稚児が、思春期になって、女性へのあこがれに悩まされるという内容です。谷崎さんの「王朝物」の先駆けとなった作品らしいのですが、女性に対する谷崎さんのアンビバレントな思いが表現されているように感じました。それにしても昔の仏教って、女性を「悟りの妨げ」として敵視しすぎだったように思います。