織田作之助の別府もの

 岩波文庫夫婦善哉 正続 他十二編』には、別府を舞台とした小説として、「雪の夜」「湯の町」が載せられています。「雪の夜」は、破滅型の主人公夫婦の最底辺の生活を描いていて、読んでいてツラいのですが、「湯の町」は、珍しく新聞記者が主人公で、安心して読めました。温泉街の娼婦と恋愛関係に陥る、といった内容は、ありがちでかったるいのですが、そこから一ひねりあることに感心しました。さすが織田作!って感じです。