お公家さんが過激!? 『公家たちの幕末維新』(中公新書)

 今年の7月に発行された中公新書『公家たちの幕末維新』の中に、江戸城での公家と武士の話し合いが描かれています。『続再夢紀事』という本に書かれていたことらしいのですが、公家側は京都から勅使として江戸に行った三条実美姉小路公知。対する武士側は一橋慶喜松平慶永。「現状では攘夷はむずかしい」と言う武士側に対し、(以下、抜粋)

 三条と姉小路は、「攘夷を決定しても、即今攘夷ではない。攘夷の方針をよく検討し、準備したうえで行うべきだ」と答えた。意外な答えに一橋と松平は、「過激な議論を主張するという風聞とはまったく違う」と驚いている。(抜粋、終わり)

 筆者によれば、これは江戸だから言えたことで、過激な攘夷論者が大勢を占める京都では、三条たちもそれを否定することは難しかったとのこと。それにしても、「公家は過激」と、武士が考えていたというのも、興味深い話ですね。