卵?玉子? 『もの食う本』(木村衣有子)

 ず~っと、心の隅っこでひっかかっていた疑問に、「卵」なのか「玉子」なのかという問題がありました。『もの食う本』の中で、木村さんは次のように書いています。(以下、抜粋)

 「卵」と書くか「玉子」と書くか迷った末に「卵」に決めた。「子」という字が入ると、生々しさが際立ち過ぎる、と思ったからだ。食べちゃうの?温めて孵さないの?との問いが不意に投げかけられるようで。「卵」と書いたほうが、食べものとして淡々と受け取れる。それがいいことかどうかは別として。(抜粋、終わり)

 なるほどとは思いましたが、私は全く同じ「生々しさが際立ち過ぎる」という理由で、結論としては逆に「卵」は避けたいという感覚の持ち主です。(あくまでも食品の場合に限りますが。)「卵」という字は象形文字であるという点で、生き物の生々しさを感じてしまうのです。実際「玉子」という表記は、食品の場合の当て字だそうですね。まあ、どっちでもよいのであれば、個人の好みで選べばよいのでしょうが。