ドストエフスキーと日本 『白痴』

 ドストエフスキーの『白痴』を読んでいたら、日本のことがちょこっと書かれていたので、忘れないように抜粋しておきます。場面としては、ある女性をめぐって騒動が起きた後、その騒動に参加していた二人の人物が会話をする場面です。(以下、抜粋)

 「ねえ、トーツキイさん、話によると、日本人のあいだによくこれと似たようなことがあるといいますね」プチーツィンが言った。「日本じゃ恥辱を受けた者が恥辱を与えた者のところへ行って『きさまはおれに恥をかかした、だからおれはきさまの眼の前で腹を切ってみせる』と言うそうじゃありませんか。そして、ほんとに相手の眼の前で自分の腹を切って、それで実際に仇討ちができたような気分になって、すっかり満足するらしいんですがね。世の中には奇妙な性質もあるもんですねえ、トーツキイさん!」(抜粋、終わり)

 『白痴』が書かれたのは、ちょうど明治維新のころで、ロシアでも日本は興味を持たれつつあったようですね。