他人の貧乏、蜜の味? 『錢金について』(車谷長吉)

 現在、私自身の収入がゼロであるせいか、貧乏話を書いたエッセイが好きになりました。今日、図書館で借りてきたのは車谷兄いの『錢金について』。冒頭から貧乏話が炸裂しています。(以下、適当にまとめます。)

①大学卒業後、出張旅費も出さない超安月給の会社に勤めたので、カップラーメンにお湯を入れず、少しずつ食べて一日を過ごしていた。
②28歳で失業した後、東京から姫路まで無賃乗車で電車を乗り継ぎ、播州飾磨の実家に帰った。(こんなこと、書いていいの?)
③実家も「帰るところ」ではないと思い知らされ、その後9年間、風呂敷荷物一つで関西のタコ部屋を渡り歩いた。(まとめ、終わり)

 なんとまあ、壮絶な生き方ですが、西行の「世捨て」に憧れてこんな人生を送ったという長吉兄い、平成最後の「文士」という称号を贈りたいと思います。