エリートの不遜さ(10月28日「読売新聞」)

 昨日の読売新聞の書評欄で『戦慄の記録 インパール』という本が紹介されていました。大反響をもたらしたNHKスペシャルの書籍化とのことですが、この本の最大の読みどころは、齋藤少尉の日誌と回想録を発見していく過程だそうです。(以下、抜粋)

 回想録には「五千人殺せば」陣地が取れる、という作戦参謀の言葉があるが、「五千人」とは敵兵ではなく日本兵を意味した。齋藤さんは「幼年学校、士官学校、陸軍大学卒」の「奢り、不遜さ、エリート意識、人間を獣か虫扱いにする無神経さ」と感じたと回想録に記している。
 本書のあとがきでは、この悲劇を現在の自分の状況に置き換えつつ映像を観た人が多かったことも記されている。だとするならば、「インパール作戦」とは現代にいたるまで根治できていない、この国の宿痾(しゅくあ)の別名にほかならない。(抜粋、終わり)
 
 最後が深刻な文ですが、確かに、人間を「道具」(たとえば、何かを「生産」するための道具)としか見ないある政治家に、インパール作戦参謀の考え方はつながっているように感じました。