夫婦関係の危機! 『カサンドラ症候群』(角川新書)

 サブタイトルが「身近な人がアスペルガーだったら」だったので、漠然と、職場にいる「大人の発達障害」社員のことが書かれているのかな~と思って読み始めたのですが、「身近な人」というのは自分の配偶者のことだったのですね。
 「カサンドラ」とは、ギリシャ神話に登場する女性とのことですが、この言葉を女性の病理に初めて用いたのは、ユング派の心理療法家ローリー・レイトン・シャピラで、1988年に著書である『カサンドラ・コンプレックス』において、ヒステリーを起こしている女性がおかれている心理状況のことを表現した言葉らしいです。(以下、抜粋)

 シャピラは、カサンドラ・コンプレックスの要件として、①理知的だが、情緒性に欠けたタイプの人物との、うまくいっていない関係、②ヒステリーを含む心身の不調や苦しみ、③その事実を他の人にわかってもらおうとしても、信じてもらえないこと、の三つを提起した。
 その後、この状態は、アスペルガー症候群を代表として、共感性の低いパートナーをもつ人に起きやすいことが知られるようになり、カサンドラ症候群カサンドラ情動剥奪障害として認知されるようになっている。(抜粋、終わり)

 女性のヒステリーって、女性に問題があるというよりも、むしろそのパートナー(および、二人の関係のあり方)に問題があったのですね。