仏教の寛容性 『いのちの苦しみは消える』(小学館)

 サブタイトルは、「医師で僧侶で末期がんの私」。内科医と住職を兼ねていらっしゃった故田中雅博先生の著作。序章の、仏教について書かれていた中に、田中先生が住職をされていた西明寺のことも書かれていました。(以下、抜粋)

 本来の仏教は、生きている人のための宗教であり、自己執着を捨てる生き方です。従って、極めて寛容な宗教でもあります。宗教というのは何かを信仰することとは限らないのです。
 日本人はキリスト教のクリスマスを祝ったり、教会で結婚式をしたり、年始に神社に初詣に行ったりするので、無宗教だと言われますが、そんなことはありません。仏教は他の宗教に対して寛容な宗教なので、こういう何でもアリの状態こそ理想なんです。
 実際、西明寺の普門院診療所が運営している介護施設の大広間には、鎌倉時代に作られた聖観音菩薩像を設置していますが、そのもとでクリスマスパーティをやっています(笑い)。何の問題もありません。(抜粋、終わり)

 田中先生のご冥福をお祈りいたします。