ようやく新たな展開に 『失われた時を求めて12』(岩波文庫)

 語り手(「私」)の元から去った恋人のアルベルチーヌが事故死した後、くよくよ思い悩んだり、アルベルチーヌの「女性関係」を探って新たに傷ついたりしている場面が延々と(300ページ以上)続いていましたが、12巻の半ばに差しかかってやっと次の展開が始まりました。(以下、簡単にまとめておきます。)

①アルベルチーヌを失った傷が癒え始め、他の女性に興味を抱き始めた。
②そんな「私」の前に、一人のブロンド娘が現れた。
③「私」はストーカー的に付きまとったりし、その娘の参加するサロンに出席した。
④サロンにおいて、その娘の方から「私」に声をかけてきた。
⑤その娘はなんと、「私」の初恋の相手ジルベルトであり、彼女は「私」であることに気づいていたと言った。

 異常なほど記憶力がいいはずの「私」が、初恋の相手と気づかずにストーカー行為に走るなんて、なんともヘマな話ですね。