『少将滋幹(しげもと)の母』(谷崎潤一郎)を読んで

 前半に二つ、興味深いエピソードが書かれています。①権力者である左大臣時平が、自分の伯父である国経から美人の妻を奪い取る話。②平中という貴族が、好きな女性の「おまる」を奪って中を確認する話。・・・特に2番目の話は、スカトロジーってやつですかね? 出典はあるのでしょうが、こんな話が書けたのは、すでに戦争が終わっていたからだと思います。あとは「不浄観」(死体の腐敗していく様子を見て、肉体への執着を断ち切る修行?)の話などが興味深かったですが、説明が冗長でうんざりする部分もありました。