薄幸の極致? 『浅草の姉妹』(川端康成)

 鉄火肌の長女、門付けの次女、踊子の三女。彼女たちが社会の最下層に近い所で、男に弄ばされそうになりながらも、たくましく生きていく様子が描かれています。10代前半の門付け女のグループが、おれん(三姉妹の長女)をならず者の男たちから助ける場面は、感動的です。『雪国』もそうでしたが、川端さんが薄幸の女性を生き生きと描くのは、自分自身が幼いころから天涯孤独の身であったからかもしれません。