意外と常識的? 『初期仏教』(岩波新書)

 今年の8月21日に発行されたばかりの岩波新書『初期仏教』。サブタイトルは「ブッダの思想をたどる」。最新の研究をもとに、タイトル通り、ブッダの思想を厳密にたどった本です。この本を読んで、初期の仏教は、念仏でも修行でもなく、「生き方」ということになるのだということがわかりました。
 
 仏教の「五戒」(「戒」とは習慣のこと)
①不殺生戒 ②不偸盗戒 ③不邪淫戒 ④不妄語戒 ⑤不飲酒戒 ・・・どれも当然のことのように感じますが、⑤は私には絶対無理で、①・③・④も、守る自信はありません。

 なお、「『解脱』とは『再生なき生を生きる』こと」という説明や、「来世があるとかないとかではなく、そう問うこと自体が無意味」という説明は、よくわかりませんでした。

 「あとがき」の最後の部分が印象に残ったので抜粋しておきます。(以下、抜粋)

 仏典の一節で、ブッダは自らの教えを筏に喩えている。筏は大きな川を渡るためのものであって、渡った後に担ぐためのものではない。渡った後の筏のように、私の教えも最終的には捨てるべきである、と(『中部』二二「蛇喩経」)。(抜粋、終わり)