泥水から咲き出る蓮の花 『赤目四十八瀧心中未遂』(車谷長吉)

 平成に入ってから発表された小説、久しぶりに読みましたが、昭和50年代という設定で書かれているので、懐かしい感じがしました。(「電話ボックス」が、重要な役割を持ったりするし。)「普通の生活」を嫌悪してサラリーマンを辞めてしまった主人公には、あまり共感できませんでしたが、「どん底でも生きていけるのか」と思えたのは、よかったかもしれません。彼よりも、準主人公のアヤちゃんに、胸がキュン(死語?)としました。
 この小説、および作者を教えてくれたのは、平松洋子さんの「食」に関するエッセイで、不思議な繋がり方をすることもあるんだな~とも思いました。