猫の魅力は耳? 『ノラに降る村しぐれ』(内田百閒)

 ノラがいなくなってしまった後の百閒先生の家に、別の猫が住み着くようになり、百閒先生はその猫にクルツという名前を付けます。(以下、抜粋)

 猫の一番可愛い所は耳である。こっちを向いてぴんと立てていても、向うを向いて三角の後ろを見せていても、尤もらしく物物しく、小さくて時時片っ方ずつ動いて、そこの所が一番猫らしい。ノラがぼんやりしている時は、いつも耳を折り畳んでやった。片一方をちゃんと折り畳んで、これでよしと思って、もう一つの耳に取り掛かると、人が折角折ったものをぴんと伸ばしてしまう。たまに両耳を両方とも折ってやった事もある。クルツの耳は小さいのか固いのか弾力があり過ぎるのか、一度も、片耳だけも成功しない。(抜粋、終わり)

 耳がかわいいので折り畳みたくなる気持ち、わからないでもないですが、猫にとっては迷惑だったのではないのかな?(猫を飼ったことがない私には、わかりません。)